近年、古民家再生や蔵の再生という形で、古くからある家屋を解体せずに再利用する動きが活発になっていますよね。そのような中で、福島県会津美里町にある蔵のリノベーションをしました!ずっと建物再生を手掛けてみたいと思っていましたので、とても楽しく携わることができました。
古くからこの町で農業を営んでいるクライアントは、老朽化した母屋と蔵を再生したいということで、母屋は改築(既存建物を解体して新築)し、蔵はリノベーション(既存建物を残したまま新しい機能を付加)することなりました。蔵はこれまでは倉庫として利用しているだけで、出入りも内容物を整理されるも少なく、内外装共にかなり老朽化していました。
内部の柱や梁の大部分は健全でしたが、基礎周りは腐食しており補強が必要でした。また、壁内部の断熱材も性能が確保できていない状態でしたので、断熱性能も上げるようにしました。
このような状況だった蔵ですが、クライアントは今後はこの蔵を倉庫だけではなく、自らの秘密基地として活用したいとワクワク感を持って話をしてくれました。そこで、蔵の1階の入口部分(ギャラリーと名付け)にはこれまで通りの農機具を置き、その奥の空間(ナカノマ=昔の居間のような部屋)には自らが所有する大量の書籍を収納・閲覧できるスペースを作ることにしました。小さなスペースではありますがトイレとミニキッチンも備え、より快適に過ごせる空間にしました。2階の入り口上部は吹き抜けにすることにして床を外し、窓が少ない蔵の内部に光の通り道を作りました。残り半分のスペース(オクノキチ)にはクライアントがこれから自由にアレンジできる余地を残しつつ、基地感のある(天井が低いので)空間にしました。そして、オクノキチから入口上部の吹き抜けに向かって内部バルコニーを設け、吹き抜けを介して蔵の一体感を作りました。
改修前は、人が寄り付かないような倉庫だった蔵が、魅力ある空間へとリノベーションにより変化し、再生改修の威力を設計者として目の当たりにしたプロジェクトでした。
古いものを活用する意義はとても大きいですね!!