会津美里町の蔵の改修「大人の秘密基地」

所 在 地  :福島県大沼郡会津美里町
竣 工 年  :2023年12月
延べ 面積:56.85㎡
構造/階数:木造2階建
施   工:ばんだい東洋建設
竣工 写真:個人撮影

蔵1階内部(手前をギャラリー、奥をナカノマと名付た)

蔵1階内部(手前をギャラリー、奥をナカノマと名付た)

福島県美里町に古くから農業を営む家の蔵の改修を手がけました。

これまで蔵は、隣に建つ母屋の倉庫として利用していましたが、屋根の板金はさび付き、垂木も朽ち、外壁のモルタルはボロボロと崩れてきている状態でした。解体するという選択肢もあるなか、クライアントは存続を望み、自らがこもる場所「秘密基地」として利用していきたいと夢を伝えてくださいました。こちらも建物の再生をかねてから手掛けたいと考えていたので、建物を再利用する方向で、既存建物の調査を行い改修に着手しました。

建物は古いだけあって、基礎は石積み、柱の根元は腐ってスカスカ、壁の中の断熱は期待できるような状態ではありませんでした。そこで手を入れるのが可能な範囲で、基礎は湿気をさえぎるために土間コンを打設し、腐った柱は切り取って補強、断熱材は内側から貼り増しをして行きました。屋根は垂木以降を改築して葺き替え、入口上部の上屋は一度解体して新たに改築しました。建具は頑丈な外扉は解体せずに補修を行い、窓についていた鉄格子は外壁に深く埋め込まれていたので残し、内側の木製建具を改修しました。

内部は総2階だったところを、2階の半分を吹き抜けにして1階半の床面積に減築し、暗かった内部空間に入口からの光が広がるようにしました。クライアントの希望で、1階の手前半分は昔の農具などを飾るギャラリーとし、その奥に歓談できるナカノマという昔でいう居間のような性格の空間を作りました。給排水・電気も通し、ミニキッチンをトイレを新設して快適に過ごせるようにしました。2階にはクライアントがこもれるオクノキチ(=オクノマ+秘密基地)を作り、吹抜けに向かって小さな内部バルコニーを設けて蔵に一体感を作りました。

解体という選択肢もあった中、この蔵が再び生活の一部に組み込まれるようになった様は、建築に携わる一人として感慨深いものがありました。建築の価値や可能性は工夫次第で大きく広げられるものなのでしょう。

※改修時の工事画像はNEWS(2024.04.18)にて掲載

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